「質問をする際のポイントは?」という質問を受けた。「質問力」などのハウツーは私にはわからない。しかし講演を行ったときの「質疑応答」で見られる数々の質問を見ると、言語化能力にカギがあると思う。

2021年8月11日 文・高松平藏(ドイツ在住ジャーナリスト)


記者会見型授業をもっと面白く


今年に入って学生さんが拙著を読み、著者(私)に質問をするというスタイルの「記者会見型授業」をする機会が時々ある。著者に質問をすることを前提に一冊の本を読むということは、通常ほぼないだろう。その点で学習効果の高い方法だと思える。

そんな中、ある方から質問をする際のポイントはあれば教えてほしいという問い合わせがあった。確かに授業を面白くするカギである。

私の回答は次の2点だった。

まずは、「授業」としては、参加者の質問が同じものにならないようにしたほうが良いという点。限られた時間の中でできるだけ多くの視点の質問を扱いたいからだ。

そして、もう一つが「シンプルな質問」をするということである。


講演の質疑応答で困るのが「主張型質問」


講演では、たいてい後半に「質疑応答」の時間がある。「もう一度説明してほしい」とか「こういう理解でいいのか」という確認型の質問も大歓迎だが、一方で刃物のようなするどい質問はなお嬉しい。そして、「確認型」「刃物型」のいずれにせよ質問はできるだけシンプルなほうが良い。

長い質問になったとしても「●●について聞きたい」という明瞭な問いをまず表明して、「というのも自分の体験でいえばこういうケースがあり、講演で聞いた内容との違いを明確にしたいからだ」といように質問の理由や背景を付け加えてもらえると、どう答えるべきかという判断がつきやすい。文脈が明確になるからだ。

最も困るのが「主張型質問」である。なぜか中高年の男性に多いのだが、「質問」の形をとって、自分の主張を話すような方がいらっしゃる。これは何を尋ねたいのかがわかりにくく、かつ主張そのものも整理されていないことも多い。


「外国語で質問する」つもりで考える


賢明な読者諸氏ならピンときたかもしれないが、私が考える一定レベル以上の質問は言語化の能力にかかっている

その観点からいえば、「主張型質問」をする人は、自分の主張と私の話を言語でうまく関連付けできていないのだと思う。そしてその言語化のプロセスを聞かされるということがおこっているのだろう。

ではシンプルな質問にするにはどうすればよいか?

ひとつの方法として、質問を外国語におきかえると良いかもしれない。日本語で考えると感覚的なものや感情など微細な表現ができる。しかし、自分にとって不自由な外国語、たとえば英語で問うとすれば、かなり直接的な単語を選ぶはずである。これで本当にききたいことがはっきりする。

「質問」は私も仕事がら気にかけていることである。つまらない質問はプロとして避けたいし、また、どういう質問をするかによって、得られる回答がかなり異なる。「記者会見型授業」は言語化能力を高めることにつながるように思う。(了)


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執筆者:高松平藏(たかまつ へいぞう)
ドイツ在住ジャーナリストで当サイトの主宰者。 著書に「ドイツの地方都市はなぜクリエイティブなのか」など。
2020年には「ドイツのスポーツ都市 健康に暮らせるまちのつくり方」 (学芸出版 3月)、「ドイツの学校には なぜ『部活』がないのか 非体育会系スポーツが生み出す文化、コミュニティ、そして豊かな時間」(晃洋書房 11月)を出版。一時帰国では講演・講義、またドイツでも研修プログラム「インターローカルスクール」を主宰している。プロフィール詳細はこちら。また講演や原稿依頼等はこちらを御覧ください。