当サイト主宰の高松平藏が第2回目の「インターローカル サロン」を10月23日にZoomを使用して開催した。テーマは「健康都市の作り方 コロナ再燃しても健康保てるか?」。自宅リビングのソファで行える感じの集まりを想定しているもので、参加者のお一人、鈴村裕輔さん(名城大学 准教授)が、自身の「研究ブログにサロンの様子について執筆してくださった(10月24日付)。承諾を得て、転載する。(このページの見出しは適宜、当サイトでつけた)

2020年10月27日 文・ 鈴村裕輔(名城大学 准教授)


鈴村裕輔さん(名城大学 准教授)

昨日は、21時から23時15分まで第2回インターローカルサロンが開催されました。

インターローカルサロンは在独のジャーナリストである高松平藏さんが主宰する会で、今回は「健康都市の作り方 コロナ再燃しても健康保てるか?」と題して前半に高松さんが報告を行い、後半は参加者2名による報告と意見交換が行われました。

第2回目のテーマは『健康都市の作り方 コロナ再燃しても健康保てるか?』。趣旨は次の通り:コロナ危機下では自宅で過ごすことが増え、健康問題が発生しやすくなっています。今日の健康概念とは何かを含め、ドイツの状況をお話します。それを元に医療、都市計画、スポーツなど様々な角度から皆さんと話ができればと考えています。


前半の報告では、高松さんが活動の拠点とするドイツ・バイエルン州のエアランゲン市の事例に基づき、心身と社会性の健康を人権として位置付け、都市計画と人材育成の中でどのように市民の健康の維持と増進が図られているかが検討されました。

また、後半の報告では、日本国内の自治体における市民の健康増進への取り組みの実例などが紹介されました。

今回の高松さんの報告で印象的であったのは住民の健康を人権と捉え、明確な指標を設定して都市計画の中に住民の健康を実現するための政策を進めるエアランゲン市の取り組みです。

一連の施策の根底にあるのは人間の尊厳をいかに保つか、あるいは健康であることが人間の尊厳のためにどれほど貢献するかという視点です。

人口11万人の都市における「スポーツの価値」は3段階にわけて変化している(高松平藏によるプレゼンテーションより)。
この変化について、著書「ドイツのスポーツ都市 健康に暮らせるまちのつくり方」(学芸出版)でも詳細に書いている。(著書についてはこちら


このような視点は、約11万人の市民の日常の生活を急激に変化させるものではないかも知れません。しかし、長期にわたり快適で質の高い生活を維持するためには健康が不可欠であることは自明なだけに、「健康都市」の実現に向けた施策は最終的には一人ひとりの市民の生活に長期的に影響を及ぼすだけでなく、都市の魅力や活力をも左右する取り組みであると考えられました。

以上のように、今回も、参加者が相互に胸襟を開いて意見を交換する場であるインターグローカルサロンから、新たな知見を得ることが出来た次第です。


※次回のインターローカルサロンの開催日は未定ですが、参加してみたいという方は連絡をください。開催日が決まればお知らせします。(主宰者 高松平藏)


鈴村裕輔(すずむらゆうすけ)

1976年生まれ。東京都出身。法政大学大学院国際日本学インスティテュート政治学研究科政治学専攻博士後期課程修了。博士(学術)。名城大学外国語学部准教授。法政大学国際日本学研究所客員所員、法政大学江戸東京研究センター客員研究員、立正大学石橋湛山研究センター特別研究員。主な専門は比較思想、政治史、文化研究。野球史研究家として日米の野球の研究にも従事しており、主著に『MLBが付けた日本人選手の値段』(講談社、2005年)などがある。また、2009年4月より『体育科教育』(大修館書店)に「スポーツの今を知るために」を連載し、スポーツを取り巻く様々な出来事を社会、文化、政治などの多角的な視点から分析するほか、テレビ、ラジオ、新聞、雑誌への出演や寄稿を行っている。野球文化學會会長、日本国際文化学会常任理事・編集委員、石橋湛山研究学会世話人。
(以上、研究ブログより転載)