当サイトは「インターローカル ジャーナル」としている。インターローカルという言葉は1998年の夏に思いついたもので、1999年にinterlocal.orgのドメインを取得した。(当サイト主宰 高松平藏)

国境とは関係のない地域間の関係性
インターローカルとは私は次のような定義をしている概念だ。辞書風に書けばこんな感じか。

【インターローカル】
1)国境とは関係のない地域間の関係性
グローバル時代の地域のビジョン。
ジェトロ(日本貿易振興機構)が早くから『ローカル トゥ ローカル』というような言い方で国境を越えた地域間の貿易を提唱しているが、よく似た考え方。
またグローバル時代の地域のビジョンというと、『グローカル』という言い方もある。私の理解でいうとグローカルの実現には『インターローカル』な関係性が有効ではないかと思う。

2)近隣の地域との関係性
具体的にいえば隣接する自治体や地域が連携するようなかたちだろうか。これは日本でも生活圏が重なる市町村が共同で図書館や劇場・ホールを持ったりするようなケースが散見される。スケールメリットが見込めるようなことは共同でやろうという場合に有効だ。またドイツの場合は主に経済・政治的な側面から戦略的に近隣都市連携をすすめている例が散見される。

「インターローカル」を使い始めたのは1998年にまで遡る。当時、記事執筆を目的にある対談の進行中に思いついたものだった。 言葉そのものはすでにあったと思うが、上記のような文脈での使い方は知る限りなかった。

おもしろいことに、「インターローカル、インターローカル」と同じことを言い続けていると、このアイデアに賛同してくださる方や、「面白い」と言ってくださる方、著作物に引用していただくこともあった。

■グローバリゼーションの中の拠点
拙著『ドイツの地方都市はなぜ元気なのか』のあとがきでも触れているのだが、グローバリゼーションには様々な問題や議論がある。しかし、かえって拠点地域の重要性を認識させるような側面もある。ドイツの地域に住みながらEUを見ていると、ことさらそれを実感することがある。

実際ドイツ各都市の姉妹都市などは拡大したEUに対して地域の攻守戦略ともいえる面が見えてくるのが興味深い。

■あなたの街はどうしてる?これがインターローカルジャーナルの核心
住んでいる地域の報道が私のジャーナリストとしての原点。転じて「ドイツのローカル」から「日本のローカル」へという「インターローカル・ジャーナリズム」が私の報道姿勢だ。

内容は、どちらかと言えば常態に着目したものである。
ジャーナリスムにはある種のセンセーショリズムが伴いやすいが、それに比べると随分地味だ。地味ではあるが、世界中の「ローカル」に経済振興や環境問題、エネルギー、インフラ、文化、教育等々、同じような課題や問題がある。

そこで、エアランゲンはどうしているかをお伝えすることで、読者諸氏は自分たちの町では「どうしているのか」「どうすべきか」という議論をより活発にできるのではないか。「あなたの街はどうしてる?」─ この問いかけこそが、インタローカルジャーナリズムの核心だ。

単なる「事例報道」ではいけない
もっとも、取り組みだけを報じるのは単なる「事例報道」だ。それらの背後にはその国や地域の制度や歴史、価値観、文化、風土など様々な要因があり、それらを鑑みることは事例を正しく理解するために必要なことで、これがラディカル(根源的)な議論につながるはずだ。

こういう考えのもと、始めたのが研修プログラム「インターローカルスクール」だ。インターローカルジャーナリズムのひとつの展開だと位置づけている。(了)