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拙著を読んだ、講演を聞いた、あるいは私の友人・知人の紹介という形で学生さんから、時々連絡をいただきます。それ自体はとても嬉しいことですが「論文執筆のために教えて欲しい」というリクエストはお断りします。理由は、八百屋さんに大根をただで欲しいと言うようなものだからです。

私は職業上、独自の取材方法や情報収集のノウハウを持っています。これを基に、経費と時間をかけて得た情報を記事や書籍、講演という形で提供しています。その対価は、私の生活費や継続的な取材・リサーチの経費となります。

賢明な方ならお分かりかと思いますが、ノウハウとコストをかけて得た知見は八百屋さんの大根と同じで「売り物」です。だからこそ、「教えてください」というリクエストにはお答えしないのです。

また、調査のためにドイツに行きたいのでリサーチ先を紹介して欲しい、案内して欲しいというリクエストも受け付けていません。他人のリサーチや視察を手伝うのは私の仕事ではないからです。取材先や調査先の開拓も私の職業上のノウハウです。


私のジャーナリズム


私のジャーナリズム活動について説明します。映画で刑事が「情報屋」にお金を払いながら情報を聞き出すシーンがありますが、これは刑事が情報を購入しているわけです。私のビジネスもこれと同じです。

ただし、私は特定の人物や組織のために情報を売るのではなく、対象にしているのは原則「パブリック」です。これはジャーナリズムという枠組みで行われるものであり、「情報屋」とは大きく異なる点です。

ジャーナリズムとは何か。とりわけ速報性よりも分析的な手法でドイツのことを扱う私は次のように考えています。

  1. 収集した情報に私の知見・解釈を反映させ、「記事」や「講演」としてコンテンツ化する。
  2. このコンテンツを「パブリック」に広く提供する。
  3. これによって社会の中で議論を喚起する。

コンテンツの提供先が「パブリック」なので、多くの人にとって、それにコストや独自のノウハウがあることを感じにくいのは理解できます。しかし、情報は無料ではないのです。

ビジネスとしては、出版社や講演主催者が私のコンテンツに対して対価を支払いますが、原稿料や印税は、最終的には書籍などを購入してくださった読者の皆さんからいただいている形になります。


しかし、こういうリクエストは応じます


私のジャーナリズムの目的は、社会の中で多くの議論を喚起することです。そのため、講演会に参加した方からの質問にはお答えしますし、意見交換にも対応します。

ただし、「意見交換」と称して、実際には情報収集を目的とする方もいます。そうした方には、日本語でドイツの社会の細かなニュアンスが知りたいというニーズがあるのでしょう。ご自身で十分に意見をまとめ、リサーチを行った上であれば、有料で対応します。

また、私の仕事に関する質問にはお答えします。これは「売り物の大根をただで欲しい」というものではなく、八百屋さんの仕事について取材するようなものだからです。例えば、ジャーナリズムについて論文を書いている学生さんから、私のジャーナリズムに関する質問を受けたことがあります。これには快く対応しました。

余談ですが、インターンとして働きたいという希望も受けたことがあります。私は会社組織として仕事をしているわけではないので、インターンの受け入れは難しいですが、他の方法で対応したこともあります。

私に連絡する前に、以上のことを理解した上でメッセージをお送りください。


【おまけ】もしブラック・ジャック型経営ができれば・・・


漫画作品「ブラック・ジャック」をご存知でしょうか?手塚治虫の名作で、無免許の天才外科医ブラック・ジャックが活躍する物語です。彼の流儀の一つに、お金持ち(大抵は善人ではない)には法外な手術代を請求する一方で、困っている人や弱い立場の人には手術代を請求しません。時々、こんな「経営」ができればいいなあと夢想することがあります。

私が考えるジャーナリズムの大きな目的の一つは、社会の中で議論を喚起することです。しかし、その方法を学校教育であまり教えないのが日本の現状です。

仮に数回の記事執筆や講演で、生活費を心配せずに済むようであれば、特に若い方を対象に議論を実践できるサロンなどを無料で開きたいところです。

現在、オンラインでの集まりが普及していることもあり、講義の一つのスタイルとして、私の著書を読んでいただき、著者(私)に質問をする「記者会見型講義」も行なっています。一方通行の講義よりも、活気があり充実した時間になることが多いです。

また、コロナ禍の前には、私が住んでいるエアランゲン市内で、集中講義と議論を行う「インターローカルスクール」という不定期のプログラムも主宰していました。これはさしずめ「大人のゼミ合宿」のような雰囲気です。

残念ながら、ブラック・ジャックのような経営はできていないので、無料で提供するわけにはいきませんが、興味のある方はぜひお問い合わせください。

以上

高松平藏