4万人規模の町に、地方の「みやこ」がおかれている。これはEUと同じ発想かもしれない。 写真は中央フランケン政府がはいっている宮殿「レジデンス アンスバッハ」の中庭。

2022年7月5日 高松平藏(ドイツ在住ジャーナリスト)


アンスバッハ市(人口約41,000、バイエルン州)の周辺は「中央フランケン地区」と呼ばれる行政区にあたる。州と基礎自治体の中間の行政区だ。

この区政府が人口4万あまりの同市におかれている。首都ならぬ、「区都」のような感覚だろうか。

これは以前からひっかかっていたことなのだが、「みやこ」をおくなら、もっと大きな都市を選びそうなものだ。もとより小ぶりな自治体が多いドイツであるが、同区内には50万都市が最大(ニュルンベルク市)。ほかにも10万人規模の都市が2つある(エアランゲン市、フュルト市)。

中央フランケン政府がはいっている宮殿「レジデンス アンスバッハ」。14世紀に端を発する歴史的建造物だ。(撮影=高松平藏)

なぜ4万人都市が「区都」になったのかは、詳しく調べてみる必要があるが、ドイツの行政府のガバナンスや空間の秩序に関する発想は、EUと重なる点が散見される。

そこから考えると、フランスでもドイツでもなく、ベルギーを「EUの首都」にするようなものか?最大の規模の自治体を「みやこ」にせず、すこし小さなところに設置するほうが、他の自治体との平等な立場で同盟を組んでいることを具現化できるほか、パワーも分散化できる。セキュリティという側面もあるだろう。

もちろん、この4万人都市には独自の歴史もある。これも勘案せねばならないが、「自治体規模」という尺度から考えた「みやこ」の置き方に「地方分権」に必要な発想を見いだせるように思う。(了)


高松平藏 著書紹介(詳しくはこちら
分権型国家における地方都市の自律性はどうできている?


執筆者:高松平藏(たかまつ へいぞう)
ドイツ在住ジャーナリストで当サイトの主宰者。 著書に「ドイツの地方都市はなぜクリエイティブなのか」など。
2020年には「ドイツのスポーツ都市 健康に暮らせるまちのつくり方」 (学芸出版 3月)、「ドイツの学校には なぜ『部活』がないのか 非体育会系スポーツが生み出す文化、コミュニティ、そして豊かな時間」(晃洋書房 11月)を出版。一時帰国では講演・講義、またドイツでも研修プログラム「インターローカルスクール」を主宰している。プロフィール詳細はこちら。また講演や原稿依頼等はこちらを御覧ください。