新聞を読む人(マインツ市、撮影:高松平藏)

2022年4月26日 文・高松平藏(ドイツ在住ジャーナリスト)


「オールドメディア」と呼ばれる新聞だが、最新の統計によると地域紙の価値が高まっている。

ドイツ新聞市場調査協会による調査「新聞のクオリティ2022」によると、14歳以上の81.5%の人が、一週間のうちにデジタル版も含む日刊・週刊の新聞のなんらかの記事を読んだり、新聞すべてに目を通している。

また、地域における諸問題や最新の動きに関して、日刊の地域紙(プリント/デジタル)が最も大きな情報源になっている(下記参考)。そして地元の問題を扱う媒体の中で、4割近い人が地域紙に最も信頼を寄せている。

数字:地域の問題、最新の動きについての情報源は?
・地域紙(76%)
・インターネット(71%)
・地域ラジオ(47%)
・行政の広報誌(43%)
・地域の無料広告新聞(32%)
・地方の雑誌(27%)

ドイツの新聞事情を見ると地域紙が主流だ。人口1万人程度の自治体でも町の名前がついた地域紙が発行されていることもある。ちなみに同協会の2021年のデータによると304紙(発行部数978万部)がある。全国紙は6紙(発行部数78万部)。

また、ある調査では、地方紙の発行部数が多く、地方政治に関する報道が多いほど、その地域の投票率が高いという結果もある。ドイツは制度的にいえば地方分権型の国だが、自分が住む地域社会に多くの人々が参加しなければ成り立たない。地域ジャーナリズムはそのために不可欠なものといえる。(了)


高松平藏 著書紹介(詳しくはこちら
ドイツの自治体における地方紙は?情報流通は?


執筆者:高松平藏(たかまつ へいぞう)
ドイツ在住ジャーナリストで当サイトの主宰者。 著書に「ドイツの地方都市はなぜクリエイティブなのか」など。
2020年には「ドイツのスポーツ都市 健康に暮らせるまちのつくり方」 (学芸出版 3月)、「ドイツの学校には なぜ『部活』がないのか 非体育会系スポーツが生み出す文化、コミュニティ、そして豊かな時間」(晃洋書房 11月)を出版。一時帰国では講演・講義、またドイツでも研修プログラム「インターローカルスクール」を主宰している。プロフィール詳細はこちら。また講演や原稿依頼等はこちらを御覧ください。