拙著「ドイツの学校にはなぜ『部活』がないのか」が4刷に。ただ、最近の日本の部活等の議論には入っていきにくい。(図は「第2章 だからスポーツが長く続けられる」より)

2022年7月4日 高松平藏(ドイツ在住ジャーナリスト)


少々「遅いお知らせ」なのだが、今年3月に拙著「ドイツの学校にはなぜ『部活』がないのか」の4刷が決まった。

これに合わせて、昨今の日本での議論に対する所感を記しておく。

部活を地域に移行するという課題が日本で大きな話題になっている。
ただ「副業問題」など、ドイツから見て、妙なトピックスが展開されており、私にはちょっと議論に加わることができない。

一方、部活から見ても、自治体のスポーツ振興から見ても、「スポーツの定義」「社会のビジョン」の2点をきちんと議論しなければ、あまりうまくいかないような気がしている。言い方を変えると、「非体育会系」のスポーツ文化とはどのようなものか?そういうことを構想していくのが、日本の課題だろう。

ところで、著書はあくまでも商業出版なので、タイトルはできるだけ多くの方に届くようなものにするが、私は著書を出すたびに、ドイツ語のタイトルもつけている。ちなみにこの本は「スポーツと社会 余暇、コミュニティ、文化」である。

拙著を読むと、「ドイツは素晴らしい」と感じる人もいると思う。だからといってコピーしても「劣化コピー」にしかならない。しかし拙著はドイツで社会とスポーツがどういう構造を織りなしているかを書いている。そのためどういう問いを立てて議論をすべきかというヒントにはなると思う。

それから、「ドイツのスポーツ都市: 健康に暮らせるまちのつくり方」(学芸出版)も併せてどうぞ。(了)


著書紹介(詳しくはこちら
スポーツは地域社会の一部であり、地域社会をつくるエンジンでもある

都市の魅力を高めるスポーツ
スポーツは地域のコミュニティを作る

執筆者:高松平藏(たかまつ へいぞう)
ドイツ在住ジャーナリストで当サイトの主宰者。 著書に「ドイツの地方都市はなぜクリエイティブなのか」など。
2020年には「ドイツのスポーツ都市 健康に暮らせるまちのつくり方」 (学芸出版 3月)、「ドイツの学校には なぜ『部活』がないのか 非体育会系スポーツが生み出す文化、コミュニティ、そして豊かな時間」(晃洋書房 11月)を出版。一時帰国では講演・講義、またドイツでも研修プログラム「インターローカルスクール」を主宰している。プロフィール詳細はこちら。また講演や原稿依頼等はこちらを御覧ください。