少子高齢化社会、地域スポーツクラブがすべきこと多い

2022年4月28日 文・高松平藏(ドイツ在住ジャーナリスト)


私が住む町の銀行へ行くと、市内の大きなスポーツクラブのパンフレットがおかれていた。「この春から夏にかけて、運動やスポーツを始めませんか?」という案内である。ページ数は24ページ、印刷は5000部。銀行は同クラブのスポンサーのひとつである。

このクラブは日本でいう「総合型スポーツクラブ(こういう言い方はドイツで聞いたことがない)」である。サッカーからレスリングまでかなり多くの種目を扱い、さらにたくさんのコースが用意されている。

表紙には球技、格闘技、陸上、体操などの競技も書かれているが、フィットネス・ジムナスティック、予防・リハビリ、ダンス(バレエ、ヒップホップから社交ダンスまで。これも「スポーツ」に分類される)といったメニューも結構強調されている。

ドイツも高齢化社会傾向の強い国である。試合に出るようなスポーツ活動よりも、生活圏内で「健康」「運動」「仲間とのリラックスした時間」「楽しみ」を必要とする人が増加していくことを意味する。スポーツクラブのパンフレットからは、人口動態の反映が見てとれる。言い換えれば、人口動態から地域スポーツに何が必要なのかを考えるヒントがある。(了)


著書紹介(詳しくはこちら
生活の質を高めるために地域スポーツはある

都市の魅力を高めるスポーツ
スポーツは地域のコミュニティを作る

執筆者:高松平藏(たかまつ へいぞう)
ドイツ在住ジャーナリストで当サイトの主宰者。 著書に「ドイツの地方都市はなぜクリエイティブなのか」など。
2020年には「ドイツのスポーツ都市 健康に暮らせるまちのつくり方」 (学芸出版 3月)、「ドイツの学校には なぜ『部活』がないのか 非体育会系スポーツが生み出す文化、コミュニティ、そして豊かな時間」(晃洋書房 11月)を出版。一時帰国では講演・講義、またドイツでも研修プログラム「インターローカルスクール」を主宰している。プロフィール詳細はこちら。また講演や原稿依頼等はこちらを御覧ください。