2026年4–7月のレビュー

表面的な最適化に終始してはならない。都市・文化・AIの表層を突き抜け、社会の設計思想(アーキテクチャ)を再構築する11本の論考を紹介。

一昔前、「近未来」に見えたAIやロボットなどのテクノロジーが、実際に都市社会で使われる段階に入っている。このとき、私たちは「技術をどう使うか(How)」の追求を始める。しかしそれ以上に、「なぜこの技術なのか」という問いが重要になる。

この問いに行き着くと、社会の前提となっている構造や規範、価値観そのものを考え直さざるを得ない。見えにくいだけに、難しい問題である。

2026年4月〜7月の『インターローカルジャーナル』では、先進技術から都市空間、文化政策、身体性に至るまで、社会の不可視の構造を解剖する「問い」を多角的に展開してきた。

たとえば、6月に京都の学芸出版社で行った文化政策研究者・松本茂章氏との対談(記事はこちら)では、文化政策を「消費財(服)」ではなく「民主主義を作動させる自己省察のメカニズム(内臓)」と捉え直す国家構造の設計論を提示した。また、飛鳥のポスターを切り口に皇位継承問題を文化政策の構造として読み解いた論考や、一時帰国時の東京で直面した「エスカレーター事件」(記事はこちら)からは、ムラ社会的な「絆」に依存する日本社会が、見知らぬ他者と共存するための抽象的規範「連帯」へと移行できていない都市公共圏の課題を浮き彫りにした。

表層的な議論では見えてこない、社会の前提そのものに踏み込む11本の論考をお送りする。


2026年4–7月 記事リスト(全11本)


街中の振る舞いや日常の対話に潜む構造を解剖し、見知らぬ他者と共存するための「連帯のロジック」と「対話のフォーマット」を再設計する。


皇位継承問題から文化政策に至るまで、歴史や文化を観光・経済消費という安易な領域に回収させず、社会が自らの前提を問い直し更新し続けるための「クリティカル・インフラ」へと押し戻す。


市場原理や根性論に還元されない「贈与と信頼の循環」としてのスポーツ文化と、摩擦の調整能力を培う「身体的装置」としての教育を論じる。


生成AI時代における議論を「プロンプトエンジニアリング(問いの質)」にとどめず、人間がどの概念枠組み・世界観でシステムに思考させるかという「知的主権」のあり方を問う。

執筆者:高松平藏(たかまつ へいぞう)
ドイツ在住ジャーナリスト。エアランゲン市(人口約12万人 バイエルン州)を拠点に、地方の都市発展を中心テーマに取材、リサーチを行っている。執筆活動に加えて講演活動も多い。 著書に「ドイツの地方都市はなぜ元気なのか」「ドイツの都市はなぜクリエイティブなのか」など。当サイトの運営者。プロフィール詳細はこちら