年明け、1月に見えた「クリスマス」が残したものとは?

関連記事:クリスマスマーケットは「社会のリビングルーム」?ドイツに学ぶ、都市デザイン(地域共創メディア『Lumiarch(ルミアーチ)』寄稿分)

年が明けても、ドイツ・エアランゲン市(人口12万人)のクリスマスが残したものは静かに効いている。
1月12日付の地元紙によると、旧市街で開催されていたクリスマスマーケットでの募金活動が、当初目標を大きく上回る成果を生んだ。星形のろうそくを買うという、ごくシンプルな行為の積み重ねが、大学病院の小児緩和ケアセンターへの寄付として1万1000ユーロに達した。当初は7000ユーロを想定していたが、ここまで伸びた背景には、「買い物」と「支援」が無理なく結びつく設計が奏功した。

同じく地元紙によれば、キリスト教系の学生団体による「ギフトツリー」も大きな反響を呼んだ。市内13カ所に設置されたツリーには、福祉団体や支援施設が必要とするプレゼントの内容を書いたカードが掛けられ、市民はその中から一枚を選ぶ。カードに記された品を購入し、贈り物として包装したうえで、ツリーの下に置く仕組みだ。こうして集まった約850〜900個の贈り物が、複数の支援団体に届けられた。主役は18人の学生だが、彼らだけでこの数は到底難しい。カードを介して、支援の対象と行為が具体化されていたからこそ、多くの市民が自然に関われた。


消費が支援に変わる仕組み


ここで重要なのは、寄付額や個数そのもの以上に、参加のハードルが低く、かつ顔の見える形で完結している点だ。クリスマスは消費の季節でもあるが、この場合、個々の消費行動が、支援を必要とする他者や団体へと自然につながっている。消費が「シェア」されていると言ってもいい。欧州的な言い方をすれば、私的な行為が公共性へと変換されている状態だ。クリスマスシーズンの「高揚」で終わらず、具体的な支援として結実する。

都市は「社会的デバイス(装置)」という一面を持つが、こうした公共空間での行動の積み重ねが、都市に対する信頼をゆっくりと蓄えていく。数字には表れにくいが、確実に都市を支える基盤「信頼資本」が、こうして日常の中で更新されている。(了)

参考文献
Erlanger Nachrichten. (2026, January 12). Kerzenverkauf brachte 11.000 Euro. Erlanger Nachrichten.
Erlanger Nachrichten. (2026, January 12). Erfolgreiche Geschenkebaumaktion. Erlanger Nachrichten.


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執筆者:高松平藏(たかまつ へいぞう)
ドイツ在住ジャーナリスト。エアランゲン市(人口約12万人 バイエルン州)を拠点に、地方の都市発展を中心テーマに取材、リサーチを行っている。執筆活動に加えて講演活動も多い。 著書に「ドイツの地方都市はなぜ元気なのか」「ドイツの都市はなぜクリエイティブなのか」など。当サイトの運営者。プロフィール詳細はこちら