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/// インタビュー  ///

2003-11-12

 


造園職人が見た環境先進国・ドイツ

 
住吉造園代表取締役 笹岡康則さん

宮崎市が行うごみ問題海外研修事業のグループがこのほどドイツ・エアランゲンを訪問した。研修に参加した笹岡康則さんは造園設計・施工の会社経営者であり、同時にベテランの職人。また本職から派生してビオ・トープの推進なども行っている。(聞き手は高松 平藏)


■造園の職人さんということですが、庭付き一戸建てという世帯も少なくなりました。

『そうですね。それでも一畳程度の広さがあれば私はつくれます。それよりも施主さんの希望や家庭の条件が重要ですね』
『見ることに楽しみがあるのが日本の庭園です。しかし、花作りや家庭菜園などさわる楽しみを希望する施主さんには「あきるまで花をいじってから、改めて連絡してください」といいます』

■日本庭園は大きな盆栽ということですか
『はい。作品として考えると、自然のある部分の強調なんですね。秋のお茶会のとき、わざわざ庭の落ち葉の量を増やすようなことがありますが、それと同じ発想だと思います。だから修行時代は師匠からしょっちゅう山へ行って観察してこいと言われました』
『職人としては、とにかく見るに耐えうる庭をつくることが大切なわけですが、ドイツの家庭の庭をみると、個人の生活を楽しむためにさわる庭という印象をうけました。生活を豊かにするための付属品という感じですね』

■今回来られたエアランゲン市は環境共生都市としても知られている街です。
『確かに日本の街に比べると自然がたくさん残っている、あるいは残している、というふうに感じます』
『日本などは休みの日にわざわざ自動車で山のふもとまでいって、山登りを楽しむ、という人がいます。それに対してドイツは住宅地のすぐ近くに森があって、しかも自由に散歩ができる。この気軽さが魅力です』

■日本で壁面や屋上の緑化がすすめられています。
『エアランゲンの屋上緑化がほどこされた建物もみましたが地味。これが本来の姿だと思います。一方、日本の屋上緑化といえば無理に木を植え込んだりする』
『加えて、日本の街路樹や道路のグリーンゾーンなんかをみると外来種が多いんですよ。これで、生態系がくずれて蝶がこなくなったりする』

■外来種が多くなるのはなぜですか?
『やはり、人々は珍しい草花をほしくなりますからね。街路樹やグリーンゾーンを設計する会社なんかも、生態系を考えずに、色やかたちを優先しています。あくまでもデザインからの発想です』
『ドイツの街並みですか?ドイツの植生について詳しくはわかりませんが、明らかに外来種の植物がグリーンゾーンに植えてあるのを一度みました』

■数年前から英国式のガーデニングが流行。一方、最近は苔を球形にして楽しむ苔玉などに人気があります。
『いずれも造園とはちがい、自らさわることに楽しみがあるものですね。それから、英国式のガーでニングも英国の風土に応じて生まれてきたものです。そういう観点からいえば、苔玉の流行はガーデニングの在来種化ですね』

■生態系を維持できる空間『ビオ・トープ』という言葉もよく知られるようになりました。
『そもそもの意味からいえば砂漠だってビオ・トープであるわけです。日本だと池があって、どの草があって、と定義づけられているように思う人が多いですが、そうではない』
『今の日本の流れでいえば、ドイツの森のように生活の中で身近に楽しめるような自然環境をビオ・トープなどで作ろうとしている。法律も後押ししていて、企業もそれにお金を出すようなこともでてきている』
『一方、われわれは見た目に珍しい外来種よりも、在来の雑草などに美しさを感じられるか、という美的感覚も必要だと思いますね』

笹岡 康則(ささおか・やすのり)さん◎
住吉造園代表取締役。19歳で大学を中退後、トラックの助手、住宅設備機器のショールームの運営などを行う。『手に職をつけたい』とのことから23歳で造園の世界へ。33歳で独立。屋上緑化、ビオ・トープ管理士会加盟。エコ商品の開発や研究なども行っている。宮崎市在住、51歳。

(『週刊京都経済』 2003年10月13日付に掲載分)

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壁面緑化の様子を見る笹岡さん(ドイツ・エアランゲンにて)


【編集メモ】 インフラか 消費か

◆わが家は街の中心に比較的近いところなのですが、それでも芝生があり、木々が生い茂っています。土曜日の朝などは子供たちと近所のパン屋さんに行くことが多いのですが、子供たちは木の枝を走るリスをみつけたり、どんぐりやまつぼっくりを集めたりするので、なかなか進みません。やっと買ってきたパンを食卓にならべ、食べていると、ベランダのバルコニーを走っていくのが見えるときもあります。またしても子供たちは大騒ぎ。

◆森も身近です。妻の実家(エアランゲン)にいたっては歩いて3分ほどのところが森。妻が子供のときは、遊んだり、散歩するコースでした。そうそう、ドイツの人たちは無類の散歩好き。休日ともなれば、森を親子3代で散歩する姿を多くみかけます。

◆拙著 『エコライフ ドイツと日本どう違う』 でも触れたのですが、京都の嵐山などには自然を消費するかのように、バスでのりつけて、大急ぎで帰っていきます。それに対して、ドイツの自然は生活のインフラという感じがします。自然に対する思想や歴史といった背景にまで踏み込むと日本も興味深いものがあるのですが、現実の自然のつかいかたは快適とはいいがたい。そんな気がします。(高松 平藏)

 

 

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