|
インターローカル ニュース |
|
|||
|
|
/// ニュースレポート /// |
2003-10-29 |
||
|
|
大邱(テグ)・大阪 ネットワーク、 韓国の埋もれた才能の開花に一役 ダンス・アーティスト 金眞姫(キム・ジンヒ)さんの活躍 |
|||
| 『頑張っているアーティストにチャンスをつくりたいんです』。 というのは大阪市内に住む金眞姫(キム・ジンヒ)さん。コンテンポラリー・ダンスのアーティストで、数年前からは同氏のゆかりのある大邱(テグ)を中心にしたアーティストを日本へ紹介することを熱心に行っている。 あまり知られていないが、ダンスは韓国で盛んな芸術分野のひとつ。民族のアイデンティティ復興という見地から 60 年代に伝統舞踊の振興がはかられ、63 年には名門の梨花女子大学で初めて舞踊学科がおかれる。その後、多くの大学で舞踊学科が創設され、またバレエやモダンダンスといったものも盛んになる。その結果、優れたダンス・アーティストを数多く輩出している。 一方、韓国といえば儒教の国としても知られるが、ダンスの世界でも師弟関係を中心にした人脈・学閥がものをいう。また、入学前を希望する大学に応じた流儀の舞踊のレッスンをうけておかねばならないなど経済的負担も軽くはない。 そんな背景から、たとえ力量のあるアーティストでも人脈・学閥からはずれていると活動の機会を得ることは難しくなる。金さんの自身、家庭の事情で経済的に苦労したことから、韓国で辛酸をなめることもあった。 そんな金さんが日本に活路を見出す。96 年に大阪市立芸術大学に留学。その後、日本で活動の場をつくっていく。2000 年には外国人としてはじめて大阪府舞台芸術新人賞を受賞する。11月には初の単独公演を大阪で行う。 ここにきて同氏は『自分もこれまで必死でやってきたが、韓国にいる私のようなダンサーためにネットワークをつくり、きっかけを提供したい』という。少しづつだが金さんを通じて大邱のアーティストが大阪の舞台に立つことが増えてきた。日本で公演をしたということは大きな実績になる。大邱と大阪の意外なネットワークが韓国の埋もれた才能の開花に一役かっているわけだ。 8 月に大阪で行われた『アジア コンテンポラリーダンス フェスティバル』には韓国から 2 組のアーティストが出演した。1 人は梨花女子大の教授も努める『最大学閥』のアーティスト。そしてもう 1 組は金さんを通じて出演が決まった大邱のアーティストだった。日韓の交流で目立つのはソウル-東京だが、金さんの活動を通じて大邱と大阪の交流が生まれようとしている。(了) (『週刊京都経済』 2003年9月22日付に掲載分) ・・・購読はこちら |
金眞姫さん。大邱CATHOLIC大学舞踊学科を卒業。釜山生まれ。今年の4月からは大阪の短大で教壇にも立っている。大阪と大邱をダンスでつなぐキーパソンだ。 |
|||
【編集メモ】 人脈とネットワークと個人主義 |
||||
| ◆師弟関係を中心とした人脈がものをいう韓国のダンス。国外に活路を見出すあたりは日本国内の制度や習慣を超えて、日本を飛び出す研究者やスポーツ選手と同じ構造。才能の流出です。一方、大阪が韓国ダンス・アーティストの受け入れ先になりそうな面は期待できそうです。 ◆先日、バードメルゲントハイムという人口 2 万人余りの小さな街を訪ねました。数年前から断続的に訪問している街ですが、以前は市長の"いささか強すぎるリーダーシップ"のため、街そのものが不全をおこしていた感じでした。今年、就任した新市長は弱冠 32 歳。市のスタッフの表情がいきいきしているのが印象的でした。ただ、小さな街ゆえに、複雑な人脈があるのも事実。さて、どういう舵とりをしていくのか。 ◆人脈も自律した個人のネットワークとして機能すると、コミュニティ全体の活力になるのでしょう。そこで思い当たるのが日本の『個人主義』。特に戦後、アメリカからの贈り物(?)であるデモクラシーと一緒に日本に広がりましたが、個人主義とは他の個人との関係性も考えないといけないことを、忘れてきたような気がします。本来、公共性と個人主義はワンセット。 ◆毎年、大阪・應典院で『コモンズフェスタ』という催しがおこなわれます。アーティストや NPO が集い、新たな共生空間を模索するというものですが、『共(コモンズ)』という言葉に集約しています。こうした動きなども公共性と個人主義がいかにワンセットであるということを再認識する機会ではないかと思います。 ◆アメリカに住む義妹からメールがきました。どうやら大学で教鞭をとっているようなのですが、日本人の個人主義に関する質問でした。アメリカの学生の日本人に対する認識は、『フジヤマ・ゲイシャ』に毛が生えた程度。そんな偏った認識を前提に、『日本人には個があるのか』という話がでてきたからだそうです。さっそく、戦後のアメリカとの関係、デモクラシーと個人主義の話を送ったところ、『アメリカ人もそう。ほかの個人のことは忘れてしまっている個人主義』という義妹からの返事。なるほどと納得。おあとがよろしいようで。(高松 平藏) |
||||
|
|
|
|||
|
|インターローカルニュースtop | 記事一覧 | |
||||