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/// コラム  ///

2003-10-20

 


地方分権を支えるマインド


左からCSU(キリスト教社会同盟)選挙ポスター、カーニバルの道化、バイエルン州とドイツの旗。

 ドイツ南部のバイエルン州でこのほど州議会の選挙がおこなわれた。伝統的に保守政党のCSU(キリスト教社会同盟)の強い州だが、街の中で目をひいたのは同党のポスター、「強いバイエルンのために」。保守政党のポスターなので、不自然さはないが、この手の愛国主義ならぬ、愛州主義はあちらこちらで目につく。

 たとえば、毎年2月から3月にかけてカーニバルが各地で行われる。このとき、州ごとにカーニバルのパーティが行われ、テレビ中継される。ディナーショーのようなしつらえだが、かつての王国の宴を思わせる。

テーブルには州の政治家や著名人が揃う。さしずめ州の首相は王様。そして歌や伝統的なダンスなどが行われ、道化は社会や政治を皮肉る。

 面白いことは時々、楽隊にあわせて「万歳バイエルン!」と、手を掲げながら叫ぶ。戦後、ドイツ人の愛国心やアイデンティティに対する感覚は教育のせいもあり、複雑なものになったが、州レベルではナショナリズムの高揚を彷彿させるようなことが行われている。

 もっと身近にバイエルンを強調しているものもある。州の色は青と白。ひし形状の格子に交互にならぶ。このデザインは旗に使われることはもちろん、テーブルクロス、ナフキン、ジョッキーなど様々なグッズに用いられる。日常のなかにさり気なく州の象徴がある。

 もともと、ドイツはいくつかの国の集まり。バイエルン州もかつては王国だった。その伝統が誇りやアイデンティティとして強く残っているわけだが、裏をかえせば、国としての独立心も強く、国家と対立することもしばしばある。

 今年の1月からデポジットに関する法律が強化されたが、州によっては反対するところもいくつかあった。具体的には裁判をおこすわけだが、こうした対立によって州と国家の存在がより明確に見えてくるかたちだ。教育の仕組みも州によって若干異なる。 

 日本で最近、地方分権が急速にすすめられているが、財源の問題が議論の中心になっている印象が強い。「地方の反乱」として知事の存在感は大きくなっているものの、分権を支える地方のアイデンティティの醸成は100年の計だ。(了)

(『週刊京都経済』 2003年10月6日付に掲載分)
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