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2003-10-10

 


『舞台芸術・芸能見本市2003大阪』より

『街の表現力が問われるアートフェスティバル
“モジュール文化行政”の時代

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 8月に一時帰国した際、『アートフェスティバルと街づくり』というセミナーでナビゲーターを務めました。セミナーを通してみえてきた街とアートの関係性をレポートします。(高松 平藏)


 国際セミナー、『アートフェスティバルと街づくり』は『舞台芸術・芸能見本市2003 大阪』の一環で行われたもので、フランス、韓国、静岡からパネラーが参加した。

 アートフェスティバルといえば日本でなじみは薄いが、欧州の街ではよく行われる。街の雰囲気ががらりとかわり、わくわくする。日本でもこうしたアートフェスティバルが行われているのが『大道芸ワールドカップイン静岡』。92 年から毎年開催されている。経済効果もさることながら、1000 人のボランティアが参加するフェスティバルを通じて、『出る杭は打たれるからやめておこう』という市民気質に変化が出てきた。また、薪能など他のアートに対しても観客が増えており、市民とアートの距離が近くなったという。

 一方、フェスティバルの経済効果にこの夏に気づいたのがフランス。芸術家に対する失業保険のような制度がある。受給条件を見直すことを政府が夏のフェスティバルシーズン前に発表。それを受けて芸術家が抗議のためのストライキを行い、事実上フェスティバルの開催が難しくなったのだ。

 そこではじめて、フェスティバルが観光資源であり経済効果として高いことが認識され、市長たちが『失策』として政府を非難した。たとえば、アビニヨンの演劇フェスティバルは 50 年の歴史を持つが、同市の市長が商業施設や観光施設の収入の 40%この時期に集中しているという。

 これまで芸術とカネの話では支援コストについての議論が多かったが、経済振興にも大きな役割をしめていることが今更ながら明らかになった一件だ。

 数年前からアートフェスティバルが増えてきたのが韓国。ソウルなどの大都市で成功した演劇プロデューサーが、故郷の地方都市でも芸術を楽しんでもらおう、といった個人の情熱がフェスティバルにつながっているという報告は『ヒト』がカギであることがうかがえる話だった。一方、自治体の首長が人気とりのために行うフェスティバルもあり、結果は芳しくない。自治体の総合的なビジョンがなければ、フェスティバルも街にとって意味がないことがよくわかる。

 さて、こうした 3 様の報告を通してみえてくることは、アートフェスティバルは、街の総合力であり、表現力であるということだ。市民と街が積極的に関わる機会や経済効果、発信力、そして交流の場といったものをしつらえる。街のビジョンをもとに、あらゆるものを組み合わせていく文化的な営為であり、『モジュール文化政策』の具体的な方法といえる。財源の問題で地方分権が進む日本だが、街の総合力を高める文化政策からの議論がもっと必要ではないだろうか。

◆セミナーで報告者は次の 3 名
甲賀 雅章 (大道芸ワールドカップイン静岡チーフプロデューサー)
ソフィー・ルノー (フランス外務省フランス芸術文化活動協会ダンス部門責任者/舞台芸術部門副責任者)
李 鐘浩(イ・ジョンホ)氏 (ソウル国際ダンスフェスティバルジェネラルディレクター/ジャーナリスト)

(『週刊京都経済』 2003年9月15日付に掲載分)
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甲賀雅章氏


ソフィー・ルノー氏


李鐘浩(イ・ジョンホ)氏

 

 

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