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/// コラム  ///

2003-10-10

 


プロフェッショナルの芸術家とは?
ネットワークと職人意識

 夏の欧州は文化フェスティバルの季節だ。多くの街でダンスや演劇などのフェスティバルが行われる。その中で日本人のアーティストも多数ヨーロッパにやってくる。藤條虫丸(ふじえだ・むしまる)さんもその 1 人だ。

幼稚園でワークショップを行う藤條さん(エアランゲン市)
 藤條さんは関西に拠点を置くダンスアーティスト。日本の前衛ダンス『舞踏』を思わせる作風だが、自ら『天然肉体詩』と名づけている。海外での活動の多い同氏だが、今年もフランス、ドイツ、オーストリアといった国々で約 2 ヶ月にわたり公演やワークショップなどを行っている。

 ところで、プロの芸術家とは何か。定義の難しさはあるが、藤條さんの活動からはその条件が見出せる。

 ひとつは、『生産者』としての職人意識のようなものが同氏には明確にある。藤條さんはわざわざ劇場に足を運んでくれた観客と日常とは違う時間を一緒に共有したいという。作品に対して好き嫌いもあるだろうが、とにかく『お客に損はさせん、という気持ちはある』。

 『生産者』としての芸術家は『開発』にも熱心だ。具体的には他のアーティストとの共同作業を通じて芸術家としての自分を向上させていく。『私がやっていることは一種の芸事。やればやるほど自分に欠けているものや弱いところが見えてくる。たとえば、こんな世界をつくりたいと思っても、1人では作れない場合などは共同作業が適している』。これによって知識や方法論、技術などを貪欲に吸収していく。

 ここで肝心なのは、共同作業をする人物をどう探すか。『この人と一緒にやりたい、と思う人は国内外そう多いわけでもない。ただ旅をしながら、“この人は面白い”というふうに思えば損得抜きにとにかく次のチャンスをつくる』。7月半ばに急遽決まったベルリンでのライブで手製のオリジナル楽器を演奏する地元アーティストと共演。やけに気に入った。『日本でも一緒にやりたい』と藤條さんは言う。

 また、同氏は『産業でいえば、私は第 1 次産業みたいなもの』ともいう。映像などマルチメディアのアーティストとの作業は第 2 次産業、第 3 次産業への展開だというわけだ。『自分自身、素材としての潔さは心がけている。どう料理するか見せてくださいというふうに関わる』。

 藤條さんは日本を発つ前から仕事はある程度決まってはいたが、滞在途中で生じる仕事も多い。また、公演後は作品を見たプロデューサーから声をかけられ、来年以降の仕事につながることもある。職人的な覚悟と柔軟なネットワーク感覚がプロの芸術家の条件といえそうだ。(了)

(『週刊京都経済』 2003年8月25日付に掲載分)
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ドイツの写真家とのフォトセッション。ツアー中にアーティストなどとの出会いも多い。

 

 

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