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2003-07-26

 


『お客様』が変わる

サービス砂漠から“カード社会”へ


 『ドイツのスーパーはひどい』

 日本企業の駐在員の夫人がこぼす。ドイツのスーパーは商品管理がよくないのか、卵などもパッケージを一度あけて割れていないのを確認して買わねばならない。ドイツの生活に触れられた本などには愛想の悪い店員、腐った野菜などが登場する。しばしば『サービス砂漠』と揶揄される。

 そんなドイツで 2000 年前後から大規模小売店やホームセンターなどが次々とキャッシュバック等の特典のついた顧客用のカードを導入するケースが増えている。商工会議所も『顧客との関係を深めるのが目的』としてカードのメリットを説く。サービス砂漠のドイツにあって、買い手を『お客様』として認識し、マーケティングの強化をねらおうというものだ。


デア・ベック社のお客様カードはポイントがたまると傘などの景品がもらえる。
日本ではおなじみのものだが、ドイツでも「カード社会」が始まった。


 先駆的に顧客第一主義をとりいれて成功している企業もある。ドイツ南部エアランゲン市に本社をおくパン製造販売のデア・ベック社だ。ドイツ人の店員にとって『お客様は神様』は動機付けにならない。そこで『自分の友人を迎えるように』という

パートナーシップの変形で顧客第一主義を実現した。そんな同社も 2001 年からポイントカードを取り入れ、さらに『顧客サービス』に力を入れる。

 一方、こうした動きに呼応するかのように変化しているのが文化や芸術に対する人々の姿勢だ。『選択肢が多いことに人々は慣れてしまった』と数々の文化関係のプロジェクトを手がけるピエレ・ライヒさんは言う。これまで、劇場やミュージアムを中心に、交際の機会や教養の一環として文化・芸術は位置付けられていたようなところがあったが、『文化とレジャーの境目がぼやけてきている』(同氏)。提示されたメニューを選び消費していく文化の『お客様』の姿が浮かぶ。

 同様の変化はビールにもある。昨今、CMなどのイメージ戦略により、大量生産される缶ビールに若者がとびつく。これに対抗するかのように、エアランゲンの地ビール・キッツマン社は数年前から、クリスマス用ビールのラベルのデザインに凝り、売上が伸びた。これまでの『味本位』とは違う『お客様』が増えてきている。 (了)

(『週刊京都経済』 2003年6月09日付に掲載分)
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【編集メモ】 方向転換する街

◆先日、週末をつかって家族でオーストリアまで行ってきました。つかの間の休暇です。高速道路を走っているとあちらこちら目についたのが、『Samurai + Geisha』と銘打たれた展覧会の広告。かなり広範囲にわたっての宣伝です。

◆宣伝の熱心さに誘われるように、家路に向かう途中、展覧会が行われているLeobenという小さな街に立ち寄りました。

◆『サムライ』『ゲイシャ』という単語を選んでいることから、ひょっとしてとんでもない展覧会ではないかと半ば思っていたのですが、中身はかなりのボリュームで、枯山水の庭と茶室がミュージアム内につくられるなど、江戸時代を中心に日本の思想や美学を伝える本格的なものでした。『サムライ』『ゲイシャ』は敷居を低くするための方便ということはすぐに分かりました。ちなみに奈良県の国立博物館も協力していました。

◆展示にまつわるフィルムも上映していました。内容はミュージアムのこれまでの展示内容、今回の展示のコンセプトやメイキング。この中には奈良国立博物館も登場します。

◆そして、市長も登場します。かつて同市は鉄の街として栄えたそうですが、衰退。そこで、街の中心地にミュージアムを作り、それを起点に街を再興しようということをしているようでした。今回の日本展をはじめ、中国など、欧州からみてちょっと距離のある文化の大規模な展覧会を毎年行っています。なるほど、プロモーションに力を入れている理由がわかりました。

◆『5年間でこのミュージアムに訪れたのは50万人。1人あたり40ユーロのお金を落としていきます』と市長。ふらり立ち寄った街なので、実際のところミュージアムが市民からどういう評価をうけているのか、といったことは分かりませんが、文化面から新たに街の方向付けをしていこうという意思はよく伝わってきました。(高松 平藏)

玄関前に鳥居が設置されたLeobenのミュージアム

 

 

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