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2003-06-11

 


カネはない、どうする文化行政
文化は決して民主主義的なものではないが・・・

 街の文化行政を考えよう──このほどドイツ南部のエアランゲン市(人口約 10 万人)で市民をまじえた『カルチャー・ダイアローグ』という催しが行われた。

 4 月 26 日、市内で行われた同催しに参加した市民は約 100 人。文化行政の責任者ディエター・ロスマイスル氏とエッセン市文化行政責任者で『文化行政協会』の代表を務めるオリバー・シャイト博士が講演。最近の文化行政の状況などについて語った。その後、5 つの分科会に分かれて討議。最後にそれぞれがプレゼンテーションを行うという 1 日がかりの催しだ。

 5 つの分科会のテーマは『既存の大規模フェスティバルのあり方』『昨年行われた1000 年祭のあとで何が残ったか』『公共空間でのアート』『ギャラリーやミュージアムでの展示内容』『文化 NPO の活動』というもの。こうしたテーマを『現状認識』『評論的視点』『ポジティブな意見』『具体的にどうするか』、といった手順に従い、意見をまとめられた。

 さて、エアランゲン市は 80 年代から複数の大規模なフェスティバルを行ってきた。市民にも支持され同市の『顔』としても重要な位置にあったが、近年、市の財政難が深刻化。市民ニーズの変化もあり、フェスティバルをはじめとする文化行政の運営方法や内容を検討する時期にあった。 

シャイト博士。『人の頭にある街のイメージはかなり表面的なものであり、街独自のものはアイデンティティだ。イメージと現実を一致させるのが文化行政の目的』

 この日、ロスマイスル氏は講演で『文化行政は市民のためのものであり、市民に近いものであるべきだから』と開催理由を述べ、『文化は決して民主主義的なものではないが、"カルチャー・ダイアローグ"では(限定的に)民主主義的な扱いをする』と続けた。

 地方分権のドイツは都市ごとに独自の文化行政が行われている。市民の『生活の質』を支えるといったことがベースにあるため、文化も政治の遡上にあがる。そして、専門知識を有した文化行政責任者がリーダーシップをとるというのがドイツのスタイルだ。エアランゲン市のロスマイスル氏も政治家であり、街の文化大臣のような存在だ。しかし、ここにきて、従来の "リーダーシップ型" から市民と練り上げていく "コーディネーター型" の傾向を強めるかたちだ。

 ちなみに同氏は 2000 年の就任時、所属政党 SPD (社会民主党)での講演で『予算が少なければ、市民との積極的な協力関係が重要になってくる』と話していた。
(了)

(『週刊京都経済』 2003年6月2日付に掲載分)
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エアランゲン市の“文化大臣”、ロスマイスル氏
【編集メモ】長い一日 カルチャーダイアローグ

◆本日の記事に登場した『カルチャー・ダイアローグ』、妻とエアランゲン大学に留学してきている学生さんと3人で一日中はりついていました。エアランゲンは人口10万人。そのせいでしょうか、街の現状と未来について総括的に見ることができ、面白かったです。

◆地域の独自性を成り立たせる作業は文化行政の大きな仕事のひとつです。文化とはなんだかぼんやりとしたものですが、自分たちの街の現状をどう捉え、未来へのビジョンをどう描くか。こうした街の個性を自覚することが地方分権を支えているように思えます。

◆大阪では毎年、パフォーマンスアーツメッセが行われますが、ぜひこういう機会に大阪の文化行政を鳥瞰できるようなフォーラムやプレゼンテーションなどが行われると面白いのですが。。。

◆文化庁提案の『関西文化圏構想』が動き始めたようです。くわしいことはわかりませんが、文化版『タウンミーティング』なんてことも行われるのでしょうか?夏の一時帰国の際にはどんな動きになっているのか見てみたいと思います。

◆それにしてもエアランゲンのカルチャー・ダイアローグ、へとへとになりました。同行した学生さんは帰り際に、『ドイツ人はほんとうによく喋りますね』とぽつり。長い一日でした。(高松 平藏)

討議の結果を発表。質疑応答が盛んに繰り返されることもあった。

 

 

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