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2002-11-14

 


企業育成 と 脱企業城下町

ドイツ・エアランゲン

ドイツ南部のエアランゲン市は総合電気メーカー、シーメンスの街としても知られている。一方、近年ビジネス インキュベーター(『ふ化器』の意)ができるなど、脱企業城下町を目指す動きがある。

■エアランゲンのビジネス インキュベーター
7月のはじめ、エアランゲン市内にあるビジネス インキュベーター 『 IGZ (Innovations und Gruenderzentrum Erlangen- Nuernberg- Fuerth GmbH)』で「ハイテックビール祭り」という交流会がおこなわれた。ビール祭りを模したもので、2年ごとにおこなわれているものだ。

同インキュベーターは86年に設立。入居前の厳しい審査と、きめ細かなコンサルティングが特徴だ。ソフトウエア、エネルギー、医療といった分野の企業が主に入居。これまで78の企業と13の研究機関の「ふ化」を手伝った。そのうち、60の企業がIGZから飛び立った。これまでで倒産したのはわずか4件だ。

今年の交流会では61の展示が行われ、130のプレゼンテーションが行われてた。記者会見では、バイエルン州政府の官房長官エルヴィン・フーバー氏は「元々小さな地方のイベントだったが、大きなイノベーションメッセのような性格を持つようになった」と『ハイテクビール祭り』を評した。

IGZでのビジネス交流会
■ソフトウエアに注力
今回の交流会で強調されたのがソフトウエア関連。「ソフトウエア アタック」と銘打たれ、14の企業が開発したアプリケーションのプレゼンテーションが行われた。

そのうち、医療用の3D画像システム、トリミングの専用ソフト、計測とデータベースを組み合わせたシステム、この3つが優れたものとして表彰された。

IGZのゲルト・アリンガー氏(マネジング・ディレクター)によると、「なぜ、今ソフトウエアなのかというと、結果的にソフトウエア関連の会社がIGZに増えたからだ」という。その背景には近隣に大学やそれ以外の研究機関の充実があるという。産学の連携が奏功しているかたちだ。


優れたソフトウエアのプレゼンを表彰。中央がエルヴィン・フーバー氏(州政府官房長官)、右から2番目がゲルト・アリンガー氏(IGZマネジング・ディレクタ


■脱企業城下町

一方、IGZの所在地であるエアランゲン市(人口11万人)から見ると、同インキュベーターは市の生き残り策としても重要な役割を担っているようだ。

昨今、税制の変化などでドイツの自治体全体が財政難にあえいでいる。その中でもエアランゲン市は比較的よいとされる町なのだが、それでも緊縮財政でなんとか「倒産」を防いでいる状態だ。

シグフリド・バライス エアランゲン市長

同市に限っていえば、企業城下町からの脱皮を図る必要性が出てきている。エアランゲン市は最大手の総合電機メーカー、シーメンスの一拠点。「シーメンス・シティ」として自他ともに認める企業城下町だ。ところが、最近は医療分野などをのぞいては同社もエアランゲン市から撤退・縮小する方向にある。加えて、企業の税制の変化も加わり、税収入がぐんと減った。

もちろん、ただ指をくわえて見ているだけではない。政策的には中央フランケン地方の町、すなわちエアランゲン近隣のニュルンベルグやフュルト、シュワバッハと経済連携を強めている。実際、ここ3年のあいだで、ハイテク関連に従事する人は1万5000人から5万1000人まで増えた。

また、「ポスト・シーメンス シティを目指すか」との問いに、エアランゲン市のシグフリド・バライス市長は「そうだ」と答える。それを裏付けるかのように、同市では今、ちょっとしたオフィスビルの建築ラッシュだ。「企業誘致のための環境整備だ」(同市経済担当コンラッド・ベウゲルさん)。オフィスビル建築後は積極的に企業を誘致する必要があるわけだが、IGZの存在は重要だ。(了)

【『別冊 週刊京都経済』2002年9月号掲載分に加筆】
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【編集後記】財政難と文化行政

▲ドイツの地方自治体は公共サービスとして文化・芸術が充実しています。文化行政という見方からすれば、その質と量に羨ましいものがあります。

▲しかしながら、近年財政難をうけて、文化行政のあり方、具体的には文化や芸術のフェスティバル、劇場やミュージアムの運営をどうしていくか、ということが問題になっています。

▲エアランゲンも例外なく、文化行政の運営方法の検討をはじめています。文化や芸術はお金をかければいいというわけではありませんが、行政単位で戦略的に文化行政をおこなってきたところにドイツのよさがあります。

▲「ポスト・シーメンスシティ」を目指すエアランゲンですが、市の財政面に効果は出てくるのはいつごろになるでしょうか。

▲エアランゲンは今年1000年祭を行っています。先日、ある式典で昔の貴族に扮した女優さんがスピーチをする場面がありました。「お金のないときにでも、私たちは文化や教育には投資した」という言葉が印象的でした。(高松平藏)

現在、市内はちょっとしたオフィスビルの建築ラッシュ

 

 

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