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/// 評 論 ///

2001-07-25

 

インターローカル戦略 第2回 

「社会=お上」構造を崩すNPO

“きちんと住んでいる市民”を増やせ

 


【週刊京都経済 2001年7月23日掲載】 数年前より、新聞各紙で毎日のように「NPO」という文字が並ぶ。そして、それは「市民」の自律的動きという言い方の中でつかわれることが多い。しかし、市民とは何だろうか。以前から住民運動はあった。特に高度経済成長期、大気汚染や公害の原因である企業などへの反対運動は多かった。

では、市民と住民は異なるのだろうか。長距離通勤が多いことを考えると、市民であっても事実上の住民とは言いがたい。だから、高齢化社会を迎え、定年退職後の人が「地域デビュー」することがひとつの話題になる。ようやく、登記上の市民から都市住民となる。

市民を語るときに、欧州やアメリカの「市民」を念頭において議論されることがほとんどだが、ドイツ語では市民をビュルガー<Buerger>という。ドイツの都市は城壁で囲まれていることでよく知られているが、このとりでをブルグ<Burg>という。BurgにいるのがBuergerというわけだ。


この2語を照らし合わせると、市民という言葉がいかにエリア的に限定されていることがわかる。そんな「市民」たちは自分の町に誇りを持っているが保守的でむしろ、排他的ですらある。そして、21世紀の現在も、職住近接で短時間労働というライフスタイルが主流だ。1日の生活の中で、経営(=かせぎ)と家庭人という人格をきちんと過ごすことになる。市民=住民なのである。住民という意識が強ければ、自治の行動にもつながりやすい。

そのせいか、ドイツではNPOに相当するフェラインと呼ばれる団体は多い。正確な数はわからないが独全国で100万程度あるといわれている。そして創立100年というものもある。運営方法のノウハウも確立されていて、新聞には求人情報も出る。

日本は明治以降、ドイツから「近代思想」を輸入したが、NPOについては船に積み忘れた。むしろ、NPO的な動きに対しては「お上」に反抗する動きとして取り締まっていた。日本では「お上=社会」だから、NPOの居場所はなかった。公害などにからんだ住民運動は自分たちの健康をおびやかすわけだから、「反対」はよほどのことだったといえる。

NPOの意義は、住民でもある市民が社会をつくっていこうという動きだ。だから、公共サービスや公益性の高い事業、社会に必要だと思われる事業を担うことが多い。町内会などの地縁組織と異なり、事業目的がはっきりしている。構造的にいえば、「小さな政府」の実現にはおあつらえの仕組みだが、これまでの日本の経緯からいうと、脱「社会=お上」という動きだ。

これは、案外ベッドタウンで活発化するかもしれない。居住地域外で事業感覚を発揮していた人たちが退職し、住民として戻ってくるのだ。ちなみに奈良県の人口ピラミッド(2000年10月)は52歳から54歳にかけて急激に増える。同県は大阪のベッドタウンになっている地域が多い。(つづく

城壁に囲まれた街の様子を示すレリーフ。(ニュルンベルグの駅構内)

 

※ドイツ語独自のアルファベットは英語表記にかえた。

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