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2001-06-27

 

男女参画社会への足音

家族と仕事、良好な関係模索


ドイツのビジネストレンド
から

 


【エアランゲン】 今月19日に、政府の男女共同参画会議が行なわれた。「仕事と子育ての両立支援策に関する専門調査会」の最終報告によると、「両立ライフ」などの施策を平成13、14年度に開始し、遅くとも16年度までには実施するという。一方、日本と同じく少子化が進むドイツでも近年、キャリアと育児の両立がテーマになっている。


■二者択一からの脱却
1999年の3月、ドイツ南部の地方都市、エアランゲンで「子供、キャリア、強いパートナーシップのためのコンセプト」と少々長い名前のNPOが誕生した。仕事と家族をうまく合わせていくことを推進するのが目的だ。

もともと、同NPOは独国最大手電機メーカー、シーメンス社の社内教育を担当している社員4人が中心になって構想を練ったもの。同市と周辺の地域内で行なわれた「イノベーションコンクール」というコンペにだしたところ1位を獲得。地元の新聞社の支援をうけて法人化した。

ドイツでは3年間の育児休暇を取得できるが、実際の職場復帰が難しいことが多い。そのため、休暇中の社員と企業との関係維持を同NPOがサポート。職場への復帰をしやすくする。他方、企業向けに在宅勤務導入などのセミナーやワークショップなども行なっている。幼稚園や託児サービスなどの既存の育児インフラを活用しながら、社員、企業両者にメリットをもたらすことをねらう。さらには「国と社会にとって社会変革を促すことになり、社会保険の負担の軽減にもつながる」とアネッテ・チマーマンさん(同NPO事務局)はいう。

これまで、女性の生き方として、キャリアか家庭かという二者択一的傾向が強かった。しかしここにきて、「家族と労務問題を組み合わせることが『経済のトレンド』になってきた」(同氏)。

これには、女性も責任の重い仕事を担うようになったという事情がある。さらには出産の高齢化傾向も加わる。会社側にしてみれば、女性に対して「社員教育」という投資してきたかたちだが、出産と育児のために辞めらては、企業側にとって投資も無駄になる。一方、女性にとってもキャリアの継続によって自分のスキルを生かしつづけることが可能になるわけだ。

■家族を基点に働く
とはいえ、同NPOの活動状況は決して順風満帆というわけではない。NPOの組織体制の問題もあるが、企業側もコンセプトを評価しても、実際の動きにはつながりにくいからだ。新聞や雑誌でも女性のキャリアと育児の両立に成功した例や育児休業を取得した男性のはなしが記事になる。つまり、ドイツ国内でも、仕事と育児の両立できる人はまだまだ少ないということだろう。

それでも個人的に会社と交渉することで、ライフスタイルと仕事の妥協点を見出すケースもある。ビール製造会社に勤務するマルティン・ルッツさん(男性)は、次女の誕生に併せて会社と交渉。給与カットを条件に2年間、労働時間も通常の7割に減らした。出産を終えた妻と新生児のケアをするためだ。

ところで、数年前から情報ネットワークの発達などで個人のグローバル化も進んでいる。しかし日本では家が単なる「同居空間」になるなど、身の回りの空間に関しては空洞化してきている。

少子化対策マクロの枠組みで育児支援を考えることも必要だが、「家族とは何か」という肌感覚から出発する発想も大切だ。突然の転勤や単身赴任など、日本は会社の中に家庭ごと吸収されてきたようなところがある。それが日本の経済成長を支えてきた一面もあるが、そろそろ家族を基点に働き方を考える時代にはいってきた。(了)

(「週刊京都経済」6月25日付掲載)


事務局のアネッテ・チマーマンさん。肌感覚からの社会変革を目指す。

 

 

 

 

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