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2001-05-28

 

「地域経済と IT」

マルチカルチャー時代の地域内対話ツール

スタンフォード大学、CONNECT の共同カンファレンス京都で

 


【京都】 今月26日、京都市内で「地域経済と IT」と銘打ったカンファレンスが行なわれた。これは、スタンフォード日本センターと電子コミュニティに関する国際会議「CONNECT」の共同で行なわれるもので、地域の情報化を計測するためのツール「J-マトリックス」について話し合われた。


同カンファレンスは京都リサーチパーク(KRP、京都市下京区)で行なわれた。話題の中心になった「J−マトリックス」のオリジナルはアメリカの NPO 「CSPP(Computer Systems Policy Project)」によって作成されたもの。日本政策投資銀行や法政大学、情報化による地域活性化を NPO「SVJ(Smart Valley Japan)」などで「日本版マトリックス企画制作委員会」を結成して日本版を作成した。

計測の仕組みは 23 の項目を4段階で評価していくというもの。例えば、光ファイバーなどの通信インフラ普及率、実際のユーザーの利用具合、ネットワークによるサービス、安全性や地域経済への影響などといったものだ。

カンファレンスでは、米国版を作成のプロジェクトリーダー、セス・フェアリー(Seth G.Fearey)さんがマトリックスの発想と米国でのケースを紹介した。

また、日本政策投資銀行首都圏の根本祐二(企画室長)さんは兵庫県竜野市、大阪府千里ニュータウン、愛知県岡崎市、東京都多摩ニュータウンの計4カ所で行なわれたケーススタディを発表したほか、京都市の情報化について、同市総合企画局の田中敦仁さん(政策推進室)が紹介した。後半はディスカッションが行なわれた。報告者以外のメンバーは次の通り。(敬称略)

モデレータ:安延 申(スタンフォード日本センター研究部門所長)

ディスカッション(五十音順): 

  伊東 正明 (スマートバレージャパン代表)
  今井 賢一 (スタンフォード日本センター 理事長)
  小門 裕幸 (法政大学エクステンションカレッジ長)
  築地 達郎 (京都経済新聞社 代表)

マトリックスの説明をするセス・フェアリー(Seth G.Fearey)さん

 

地域内のダイナミズムを起こせる
さて、計測ツール「J-マトリックス」の目的は、地域の生活の質の向上や、経済の活性化などにつなげることにある。マトリックスはあくまでも地域の現状や位置付けを把握するツールだ。カンファレンスでもたびたび強調されたが、決して地域の「成績表」ではない。地域の現状を評価したあとは、目標の優先順位をつけて地域で実現していくことに意義がある。

最大の機能は IT を基点に地域内の企業や行政、市民のコミュニケーションを成立させるところにあるだろう。「シリコンバレー興隆のカギになっているのは地域が持つダイナミズム。その源は人と人とのつながりだ」(今井賢一さん)。

一方、地域活性化の議論の中で、企業、行政、市民のパートナーシップの重要性が説かれるが、実際3者の認識の差や組織構造の問題から難しい面も多い。しかしながら同ツールに基づいた地域アクションを起こす場合、域内の現状を把握には、それぞれの立場や組織からの評価を集約する必要がある。

また、実際のアクションについても「お互い協力しあわなければ、前には進まない」(フェアリーさん)。例えば地域内の企業の情報化を高度化していくような場合には、地域の情報インフラそのものを整備していく必要があるといったケースがあるからだ。

横断的な共通言語としての IT
ところで、地域における情報化計測ツールの効果の本質は、組織や立場に関わらず IT という一種の共通言語のようなものが共有できるということにあるようだ。

近年、グローバル化時代といわれて久しいが、それは外との関係のみならず、国内や地域内に外国人が増えるということでもある。「内なるグローバル化」は必至だ。こうした地域社会では、日本人だけの村の寄り合い的なコミュニティケーションでは対応できない。

これに対して、アメリカは多民族国家だ。地域の問題となると現実の日本以上に民族や人種の多様性がコミュニケーションの問題として浮上する。しかし、根元さんによると「こうした問題に対してもマトリックスは機能している」という。民族や人種を超えて、IT 活用を皆で考えるということ自体が、コミュニケーションのための共通言語を得たかのようになっているわけだ。「これを勘案すると、日本での活用はもっと容易なはずだ」(同氏)。

21世紀のひとつのテーマは地域におけるマルチカルチャー化。そもそも概念と概念を対話によって重ね合わせるというコミュニケーションが日本人は下手だとされるが、「IT と地域」いう文脈は組織や立場、人種、民族を横断するようだ。つまり、マトリックスというツールが共通の文脈を生成するといってもいい。マルチカルチャー地域の共通言語としても重要な役割を担いそうだ。

なお、このカンファレンスは2001年の CONNECT 国際会議へ続く一貫で、千葉や東京でも28日、29日、30日の3日間、地域と情報技術に関する議論が行なわれる。(了)

<ホームページ>
CSPP(Computer Systems Policy Project)
SVJ(Smart Valley Japan)
日本版マトリックス企画制作委員会
コネクト2001開催概要

 

 

 

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