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///インタビュー/// |
1999−07−01 |
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創造の環境を劇場で 地方で育成、そして発信。 トリイホール プロデューサー 大谷 燠さん |
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【7月1日=取材地パリ】 トリイホール(大阪市、鳥居学社長)は舞踊関係のプログラムをここ数年、充実させてきた民間のホールだ。その結果、今や関西のダンスシーンの拠点地となっている。地方の劇場が担う役割について、プロデューサーの大谷 燠(いく)さん=写真に話をきいた。カギは「育成」「ネットワーク」「発信」にある。(聞き手は高松平藏) ──トリイホールといえば舞踊公演のプログラムが充実していますね。 |
大谷 燠さん。 「現場の強さが企画に直結している。これがウチのよさだと思う」 |
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| ──新人の育成ということも視野に入れられているとか。 「そうですね。まずアーテイストの育成という意味では、『DANCE BOX』の一環で『ダンスサーカス』というプログラムを行っています。これは、1回の公演で複数のアーティストが作品を上演するというもの。いわば落語の寄席のような形態で、新人が作品を発表する機会にもなるわけです。ほかにはアーティスト向けのワークショップも行っています」 「アーティストの育成と同時に観客の育成も重要です。例えば先の『ダンスサーカス』の場合だと、観客にとって異なるジャンルのアーティストを見ることにもつながる。モダンダンスにしか行かなかった客が舞踏も見るようになるなど、観客が持っていたジャンルの垣根を取り払うことにつながった」 「今年は、美術に興味がある人を舞踊の観客として開拓していこうと考えています。実際、京阪神のギャラリーにチラシをおくような展開をしていますが、あるギャラリーではゴールデンウイーク中に1,500部のチラシが全部なくなった。観客層の拡大に期待が持てそうです」 「さらにダンスと社会との接点を広げるという意味で『出前ワークショップ』なるものもはじめました。これはダンスの技術や方法を教えるものではなく、舞踊そのものが持つ身体の開放性をワークショップの参加者に気づいてもらうものです。ダンサーにとっても創作の手掛かりとしてフィードバックがある。今のところ教育関係からの問い合わせや依頼が多く、『DANCE BOX』にも出演するダンサー2名が取り組んでいます」 ──地方のアーティストが抱える問題として、発信の機会が少ないということがあるようですね。 「関西のアーティストに関していうと、プレゼンテーションの仕方が下手な人が多い。今後、各種補助金の取得方法やプレゼンテーションのノウハウを提供できるようにしていきたいですね。加えて、アーティストや作品をデータベース化するなどライブラリー機能を持たせたいと思っています。これは、民間企業でやるには難しい部分もありますが、ぜひ実現したい。地元アーティストの発信機能の充実につながる」 「約1年前、『Japan Contemporary Dance Network(JCDN)設立準備室』(京都市、佐東範一代表)というNPO(非営利組織)が組織されました。ダンスの創造環境を整えることと、社会とダンスの接点を広げることが目的です。3月にホールのプロデューサーや批評家、アーティストなどが一同に会して第1回の会合が行われ、私も参加しました。そこでは全国にある民間のホールがネットワークを構築。その上でダンス公演を重ねていけるようにしていく合意がなされました。地方のアーティストが各地で公演活動をしていける環境づくりです」 ──関西のダンスシーンがますます活性化しそうですね。 「最初にトリイホールで始めたダンス公演が舞踏でした。しかしそのうち、客が一定以上増えなくなった。一方でモダンダンスの公演を覗くと舞踏とは違う客層がある。これが、現行のプログラムを考えるきっかけになった。アーティストにとってもジャンルではなく『身体表現』という枠組みのなかで刺激しあえる環境ができたと思っています。 加えて言えば、関西のモダンダンスはある種のヒエラルキーができていて、停滞気味。この状態を壊したいという気持ちもあるんですよ」(了) |
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| <メモ>創造環境の整備はインフラづくりだ ▼6月15日から27日までパリで行われたMAIフェスティバルに兵庫県在住の舞踏家・小島一郎(栗太郎)さんが参加。その際、マネジャー兼制作協力のかたちで大谷さんも渡仏した。そして取材が実現した。 ▼小島さんの出演はトリイホールが推薦によるものだ。同氏は「OSAKA DANCE EXPERIENCE」や「DANCE BOX」で同ホールによく登場するダンサーの1人。ホールの発信機能が働いたかたちだ。ちなみに ▼地方の公立劇場も単なる「ハコ」から方文化の発信「システム」として最近、ようやく機能し始めている。今回のケースはいわばその先駆的な流れだ。 ▼アーティストの意識変革も必要だ。地方在住のアーティストの中には「面白いことをやっているのに、東京を意識しすぎて自信が持てない」日仏文化芸術協会オムニッポン(パリ市)の大谷知子さんの弁だ。 ▼経済、政治、情報などの国境を超えた広がりははめざましい。しかし、地方においては経済活動と生活が両立する地域づくりが求められる。地方分権時代の1つの課題といってもいい。 ▼アーティストは自分の環境や風土に影響されながら作品を創りだすようなところがある。逆にいえば、アーティストの仕事は地方が持つ「何か」を作品というかたちに抽出しているともいえよう。こういった作業が増えることは、まわりにまわって地方の「結晶性」を高めことにつながるだろう。だとすればアーティストを育成したり、創造の環境を整えることは、地方のインフラストラクチャー(社会基盤)作りの一環である。(了) |
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