-the ART journal-

 

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1999−06−28

 


日仏文化芸術協会オムニッポン

地方に注目、文化発信地との接点拡大へ

パリの「MAIフェスティバル」

【6月28日=取材地パリ】フランスのパリで、このほど日本人の舞踊家、舞踊グループ、演劇を上演する催し物、「MAIフェスティバル」が行われた。現地のNPO(非営利法人)、日仏文化芸術協会オムニッポン(代表 早川雅水さん)によるもので、今年で3回目を迎える。



公演が行われたパリ市内の劇場
同フェスティバルが行われたのは今月15日から27日まで。パリ市内の劇場で、8グループの日本人アーティストが作品を上演した。中でも舞踏の岩名雅記さん、小島一郎(栗太郎)さんの作品は好評を博した。

フェスティバル全体の運営を行うのが、日仏文化芸術協会オムニッポン。1996年に大谷知子さん(現・同協会ディレクター)によって立ち上げられた仏政府公認のNPO(非営利法人)だ。文化交流とアーティストの活動を支援するのが目的で、今回のフェスティバルも同協会の目的を具体化した催し物だ。

ところで、同協会の活動には日本のアーティストを仏国へ紹介するということも含まれる。実際の「橋渡し業務」を行う大谷さんは、今後、日本の地方から質の高いアーティストを掘り起こしていく考えだ。地方における舞台芸術には独自性の高いものが多いと同氏は見ており、各地の文化発信地との接点を増やしていく方針だ。「東京のアートシーンは一部のマスコミによって作られたものが多い。そのため実際に見ても期待はずれということもある」(大谷さん)。

実際、地方発信という流れは今回のフェスティバルにも反映された。例えば、昨年は大阪のトリイホール(代表取締役社長 鳥居学さん)と提携。実力のある関西のアーティストを紹介してもらうためだ。その結果、今回のフェスティバルでは、舞踏家の小島さん(兵庫県在住)を推薦してもらった。同ホールは舞踊系の人材と数多くの接点を持ち、関西のダンスシーンの拠点になっているところだ。

活動方針が明確な同協会だが、一方で運営資金の調達などに腐心している。スタッフもフェスティバルの規模に対して不足気味だ。しかし「とにかく、実績の積み重ねがものをいうのがフランスだ」(大谷さん)。今回、舞踏の公演など好評を博しているものも多く、企業からの援助やスタッフの獲得につながりそうだ。



舞台に立つ小島一郎(栗太郎)さん
パリ流のBUTOHに衝撃

舞踏家・小島一郎(栗太郎)さん
MAIフェスティバルで注目をあびたのは、舞踏家・小島一郎(栗太郎)さんの作品「雲の下西遊記」だ。同氏が主宰するグループ「古舞族アルタイ」によって、18日と19日の2日間続けて上演された。作品の持ち味は痛快なエンターテインメント性と芸術性を持ち備えているところにある。

例えば、作品半ばに次のようなシーンがある。2つの樽に鼻緒をつけ、下駄のように「履いた」同氏が登場=写真。両手にはおもちゃの刀と飛行機を持ち、振り回す、時には遊ぶ、「樽の下駄」から転ぶなどという所作が、力強いドボルザークの「新世界」にあわせて繰り返された。このシーンが終わったときには客席からも拍手がわき出た。

入場料金の仕組みからも観客の反応をうかがえる。同フェスティバルでは入場料を参加費扱いにするという方法をとっている。これは観客が任意の額を支払うというもので、いわば大道芸などの「投げ銭」と同様の方式。無名のアーティストの場合でも集客につながりやすいというわけだ。小島さんの公演には1日に1,000フラン(約2万円)程度が集まった。同程度の「投げ銭」を得たのはフランスに活動拠点をおく舞踏家、岩名雅記さんなど。それ以外の公演は、小島さんたちの2分1以下だという。

ところで、舞踏グループ、「山海塾」がパリを活動拠点とて約20年になる。以来、日本のオリジナル舞踊「BUTOH」としてフランス国内で舞踏が広く知られるようになった。大谷さんによると、「パリ市内では10から20程度の『舞踏』教室があり、しかも先生はフランス人ということが多い」という。

山海塾の作品は、洗練された極めて芸術性の高いものだ。これは仏国の人にとって「舞踏」のイメージとして定着した。そのため、パリでは固定したイメージに沿ったような舞踏作品が上演されることも多く、観客側も「美しさ」「耽美的雰囲気」を舞踏に求める傾向があった。そんな中、エンターテインメント性がふんだんに盛り込まれた小島さんの作品が登場したというわけだ。したがって、「多くのアイデアが盛り込まれている」「コンセプトが面白い」など観客の反応も作品に踏み込んだコメントが並ぶ。既存の「パリ流の舞踏」に一石を投じたといえそうだ。(了)

 

 

 

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