|
|
|
||
|
|
///インタビュー/// |
1999−05−30 |
|
|
|
ドイツ 市営劇場、法人化の動きあり フュルト市市営劇場運営責任者 ヴェルナー・ミュラーさん |
||
|
【エアランゲン=5月30日】日本に比べて行政の文化予算が充実しているドイツ。しかしながらここ数年は、その額も減少傾向にある。一方、みずからの「経営努力」で運営をはかる芸術施設も少なくない。今回は同劇場は南ドイツの地方都市フュルト市市営劇場=写真の運営責任者ヴェルナー・ミュラー氏に話を聞いた。同劇場は今世紀の初頭、1901年に建てられた歴史のある建物だ。1994年の組織改定以後、優れた劇場運営を展開しており、成功例としてよくとりあげられる。(聞き手は高松平藏) ──年間どのくらいの公演を行いますか。 「年間300以上です。当劇場では公演のために4つの場所を持っています。中心になる劇場が740席、『スタジオ舞台』と呼ぶ方式で150席、その他80席の小スペース、そして6月から8月のみ使われる市内の野外劇場が400席です。演劇、オペラ、バレエ、ダンスシアター、子供・青年のためのシアター、朗読、展覧会などさまざまなジャンルの公演が行われます」 ──黒字運営ということですが。 「フュルト市は年間400万マルク(約2憶4,000万円)を劇場予算としています。しかし、それだけでは当然足りません。昨年は600万マルク(約3憶3,600万円)必要でした。それに対して収入は300万マルク(約1,950万円)。100万マルクは純利益というわけです。今年の予算は、この利益を加え、700万マルク(約3憶9,200万円)としています」 「通常、行政の管轄にある劇場が、自前で予算を捻出するのは通常は全体の12〜15%。それに対してフルト劇場は全体予算の約34%が自前。『黒字』と表現されるのはこのためです。だが、企業経営でいう黒字とは少しちがう」 ──『黒字的』経営に変換できた理由はなんでしょう。 「1994年の組織などの改革に端を発します。これにより、財務面で企業的な動きがとれるようになったということでしょうか。以前は劇場が公演で稼ぎ出す増益分は市に吸収されるかたちでした。改革以降、プラス(純利益)は劇場が自由に使えるようになりました」 「次に、人件費です。劇場運営にかかわる全スタッフは165人にものぼります。しかし正スタッフは私も含めて25人。必要な時に、必要な人に働いてもらうかたちを取りました。ほかの劇場では80%が人件費といいます。劇場運営における人件費の負担は小さくありません」 「集客率を上げる仕組みが強化されたことも大きいです。劇場にはサポート組織があるのですが、7年前には会員が600人。いまでは2,000人に増えた。ほかにも『アボーネン』という1シーズンの通し券のような仕組みがあり、これも2,000人から7,000人にこの7年で利用者が増加しました。いまでは、各公演の平均集客率が90%にまでのぼっています。ところが残りの7〜8%がどんなに頑張ってみても増えない。これが悩みです」 「それにプログラムの決定方法も変わりました。改革以前はツアー公演を取り入れたりすることが多かった。パッケージ商品を買う感覚でしょうか。現在は私が最終決定をくだすわけですが、その過程でアーティストをはじめとする、様々な人と議論していきます。フュルト市や同市の近隣都市(エアランゲン、ニュルンベルグ)の傾向でいうと、最近、舞踊公演に人気が出てきているのが特長です」 「プログラムの決定にともなって、予算的にもチェックを行います。コストの高い低い、利益が出るか出ないか、コストと利益についてマトリックス状にして勘案します。これで年間を通じて、バランスのよいコスト構造へもっていく」 ──「文化行政」が充実しているドイツですが、企業的な劇場運営に変わる傾向にあるのでしょうか。 「そうですね。最近は劇場がGmbH(有限会社)や財団にするケースが多いです。今後はGmbHを目指すところがもっと増えてくるのではないでしょうか。劇場が自前でうまく運営すると、『文化予算』の負担から行政が逃れられるという事情も反映しているようです。とはいっても現時点ではGmbHにした劇場も、運営の共同出資者(Geselschafter)に市が加わっているケースが多いのも事実です」 「個人や企業による寄付金や財団も劇場にとって魅力があります。ただ、現時点では財団を設立する際の税金が高く、そのため財団を創設するケースは少ないのが現状です。一方、法改正がなされる動きもあります。法律が改正されれば今後、財団をつくる個人も増えてくるのではないでしょうか。これは我々にとって大切な動きです。いずれにせよ、法人になると長期の借入れなどが可能になり、財務面でかなり融通がきくようになります」(了) |
|||
|
|
|
||
| 【関連記事】 「タンツ・テアター・ブッパタール」も法人化 創立メンバーにピナ・バウッシュ氏とブッパタール市 |
|||
| 今年3月、「タンツ・テアター・ブッパタール」(ブッパタール市)がGmbH(有限会社)になるよう正式に申請したという。同カンパニーは舞踊家・振付家として著名なピナ・バウッシュ氏=写真上が25年間にわたり指導してきた。世界的にもよく知られているカンパニーだ。 3月11日付『フランクフルター・アルゲマイネ新聞』によると創立メンバーはバウッシュ氏とブッパタール市。業務執行者(社長に相当)にマティアス・シュミーゲルト氏=写真下が就任すると伝えた。 法人化にあたり、ブッパタール市、ノートラインヴェストファーレン州が同カンパニーへ出資。これにより、今後5年間の運営が保証されたかたちだという。 近年、ブッパタール市も財政逼迫にあえいでおり、文化・芸術関連の職員を大幅に削減する動きがある。同カンパニーの法人化もリストラ策としての一面が背景にあるようだ。(了) |
|||
|
|
|
|
|
|
|サイトTop | 文化芸術報道Backnumber | |
|||